【シノアリス】ブリキノココロ ストーリー※ネタバレ注意


どうして、私をみんな避けるの?
どうして、私はみんなと違うの?
どうして? どうして? どうして?



ちっちゃな、ちっちゃな赤ちゃんが
生まれたよ。生まれたよ。
みんな、みんな笑顔だよ。

でもね、その赤ちゃんは
とっても、とってもちっちゃくて。
今にも死んでしまいそう。

お父さんとお母さんは
丈夫に育ってほしいと考えて、
山のようなブリキと、たくさんの仲間を。
たくさん、たくさん集めました。

トンテンカンテン音がする。
トンテンカンテン音が鳴る。
丈夫に育て。と願いを込めて
皆んな揃って大工事。

せっせこせっせこ働くよ。
寝る間を惜しんで働くよ。
いっぱい、いっぱいブリキを集めて
いっぱい、いっぱいブリキを重ねて……

何日も、何日もがんばって、
ようやく、あと少しで完成です。
でもね。集めたブリキが重た過ぎて
ちっちゃな赤ちゃんプチリ。と
潰れてしまいました。



えーん。えーん。と声がする。
えーん。えーん。と皆んな泣く。
悲しんで、悲しんで、悲しんで
みんなみんな、泣き明かしました。

大事なものを、うしなって
みんなのこころは空っぽに。
さみしくて、さみしくてみんなは、
赤ちゃんを忘れることができる
何かを探し始めました。

みんな寂しいけれど、一人、また一人。
いつもの場所に集まり始めます。
そして、みんなはさみしい心を
まぎらわせるためにいつもと
同じようにブリキを積みはじめました。

何日も、何日もがんばって、
ついに、完成しました。
大きく、丈夫な竜ができました。
だけど、当然うごきません。
みんなはよけいに、寂しくなりました。

やることがないと、
いっきに寂しさが押し寄せます。
今度は、ブリキにココロをこめようと
みんなは、頑張ることにしました。

ある頭のいいオークが言いました。
ウィスプなら体がない。ウィスプを
ここにいれたら、きっと動くよ。
みんなそれいい。とうなずいて
ぱぁっと笑顔になりました。



それからみんなは、協力して
ウィスプの赤ちゃんを連れ去りました。
いやだ。いやだ。と怯えるウィスプを
ブリキの中に、押し込めました。

抜け殻だった、
ブリキにココロがやどりました。
でも、なにかが違います。
一番大切な何かが違っていました。

ウィスプの赤ちゃんは
逃げ出したくてあばれます。
暗いよ。怖いよ。とあばれます。
でも、おっきな体で暴れたら、
とっても大変なことが起こります。

ブリキのしっぽが、ぴょんっと跳ね。
お母さんドラゴンにあたります。

お母さんドラゴン、ぐしゃりとはじけて
とび散りました。

心配したブリキは「だいじょうぶ?」と
ピクピクする頭をなでます。

すると頭がグワンとたわみ
中から汁がぴゅーぴゅーでました。



みんな我先に、にげだします。
みんなこわくてにげだします。
もう、みんなの頭にはちっちゃな
赤ちゃんのことはありません。
でも、そのお陰で
みんなは寂しくありませんでした。



どすん。どすん。と音がする。
ずしん。ずしん。と音がする。

おっきなブリキの塊が、
家族を求めてさまよいます。
ぬくもり求めて叫びます。
「オ母サン。私ハ、ココダヨ。」
「オ父サン。デテ来テヨ。」

すると木立の間から、
ちらりと家族が見えました。
だけど、すぐに消えたので
きっと気のせいだったのでしょう。

ブリキの塊は歩きます。
どすん。どすん。と音をたて。
ずしん。ずしん。と音をたて。
温もり求めてどこまでも。
家族を求めて、いつまでも……
















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